閉鎖花は左右相称花で進化しやすい

Repeated evolution of a reproductive polyphenism in plants is strongly associated with bilateral flower symmetry Simon Joly and Daniel J. Schoen. Current Biology (2021) 

https://doi.org/10.1016/j.cub.2021.01.009

ダーウィンは閉鎖花は放射相称花よりも左右相称花で良くみられることを示唆した。左右相称花は放射相称花よりも限られた種類の動物に花粉媒介される傾向があるため、受粉に失敗しやすい可能性がある。閉鎖花によって種子生産が補償されるため、閉鎖花は受粉に失敗しやすい左右相称花において有利に働くかもしれない。しかし、放射相称花に比べて左右相称花において閉鎖花が進化しやすいという仮説は、系統に基づいた解析によって詳細に検証されてこなかった。

この研究では、閉鎖花の有無および花の相称性の情報がある378科の2,523種に基づいた解析を行った。1,695種の放射相称花のうち3.2%が閉鎖花をもち、828種の左右相称花のうち15.2%が閉鎖花をもつ。

解析の結果、左右相称花では放射相称花よりも3.8倍も閉鎖花が進化しやすいことが分かった。一方で、閉鎖花が失われる率は放射相称花と左右相称花で変わらないことが分かった。

左右相称花はその構造的に自動自家受粉しにくいかもしれない。このことが閉鎖花の進化と関連しているかもしれない。花が袋がけをした状態で自動自家受粉をする度合いに関するデータセットをもとに放射相称花と左右相称花で比較したところ(自家不和合性の種は解析から除いた)、放射相称花とくらべて左右相称花は自動自家受粉しにくいことが分かった。

自動自家受粉は花粉媒介者による受粉が限られている時に進化しやすいと考えられる。左右相称花は放射相称花と比べて特定の花粉媒介者に特殊化している傾向があるため、閉鎖花は左右相称花においてより適応的なのかもしれない。種子生産の補償として機能する遅滞自家受粉(delayed selfing)も特殊化した花粉媒介様式と関わっている。こうした自家受粉に関わる混合戦略は、花粉媒介者の利用可能性が変動する時に適応的な可能性がある。